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次世代の休眠復帰施策の考え方と評価指標について

2017.04.27

はじめに

アプリマーケティングにおいて、休眠顧客に復帰してもらうこと(休眠復帰)は、新規顧客を獲得すること(新規獲得)や既存顧客に継続利用してもらうこと(既存継続)と並び、重要なテーマの1つとなっています。

休眠顧客は既にアプリを認知しているため、一般的に休眠復帰施策は新規獲得施策よりも低コストで実現可能です。顧客への接触方法も、プッシュ通知やリターゲーティング広告など多様な選択肢が用意されています。また、施策対象となる顧客群が過去にアプリをどのように利用していたか、どの程度課金していたかといった、アプリ内データも取得可能なため、これらの手段や情報を適切に利用することができれば、より最適な施策が実施可能です。既存継続施策と比較しても、ほとんどのアプリでは休眠顧客数は既存顧客数よりもはるかに多く存在するため、休眠復帰施策の理論上の最大効果も比例して多く見込めることになります。

このように、一見すると非常に魅力的にみえる休眠復帰施策ですが、休眠してしまったユーザを復帰させるのは容易ではありません。前回の記事(https://www.metaps-links.com/blog/2016/03/31/retention/)にもあるように、7日間以上アプリを起動していない顧客が再び起動する確率は約2割程度に留まっており、これは当然、新規顧客や継続顧客がさらに継続する確率より遥かに低いです。単に一度復帰するだけでも低確率なうえに、その後継続利用してもらうとなると、確率はさらに低くなり、上記3つのマーケティングテーマの中でも期待通りの成果を出すのは特に困難なテーマといえます。そのために、弊社のような専門組織が中心となり、現在進行形で休眠復帰施策の様々な研究開発を試みています。

今回の記事では、最先端の休眠復帰施策アプローチおよび施策の評価指標ついて議論します。特に我々が主張したいことは、効果的な休眠復帰施策を実現するためには、「1. プロダクト視点のKPIを設計すること」「2. オーディエンスを適切にセグメンテーションすること」「3. アプリ内データと広告配信システムを自動連携させること」の3つの要素が必要であり、かつ、これらの要素を上手く組み合わせることでより効果的な施策を行うことができるということです。以下では、各要素の必要性について順に説明していきます。

 
 

1. プロダクト視点のKPIを設計すること

従来、休眠復帰施策でも新規獲得施策と同様、CPCやROASなどの、いわゆる広告効果KPIが活用されてきました。これらのKPIは当然、休眠オーディエンスの反応が多いチャネルの特定や、広告単価の妥当性の検証に用いるためには有効な指標となります。ただし、休眠復帰の場合、興味深いプッシュ通知がきっかけとなったり、他アプリとのコラボレーション施策により復帰したり、はたまた気まぐれで復帰したりといったように、復帰要因が多岐に渡るため、新規獲得に比べて広告がカバーしているオーディエンスの割合が低くなります。

また、休眠復帰施策の本質的なゴールは、より多くのオーディエンスに再び起動してもらい、その後継続顧客として定着してもらうことですが、従来の広告効果KPIだけでは、復帰後の効果まで測ることはできません。極端な話、広告効果KPIのみに着目してしまうと、ほんの数秒だけ復帰しても成果となりえます。実際、過去に課金経験のあるオーディエンスにのみ広告を配信し、短期的なROASだけをKPIとして大きな効果が出たと報告をした他社事例もあるようですが、これでは継続顧客が積み上がっているかどうかは分からず、必要十分ではありません。

真に見るべき指標は、その後継続利用しているか、継続的に課金を行なっているか、さらには個別に設定した目標行動を行ったかといった、プロダクト視点のKPIです。適切なプロダクト視点のKPIを設定するためには、マーケティング部門とプロダクト運営部門の密な連携が必要となるでしょう。組織の壁を超えて連携できるかどうかも、1つの課題であるといえます。

図1. マーケティングとプロダクトのKPIの違い

 
 

2. オーディエンスを適切にセグメンテーションすること

当然、オーディエンスの休眠動機は多様であるため、全てのオーディエンスに均一のアプローチを取るのは望ましくありません。例えば、あるシナリオRPG系アプリで長期継続利用を行なっていたオーディエンスAは、新たなストーリーの追加がないために休眠をし、インストール後すぐに休眠したオーディエンスBは、目当てのキャラクターが手に入らないことが理由であるとします。このとき、ストーリー追加をアピールした広告を打ったとしても、オーディエンスAには魅力的かもしれませんが、オーディエンスBには効果がないでしょう。

適切に休眠理由を分析し、それにより正しいセグメンテーションを設定することで、より効果的な施策が実現可能となります。究極的には、1人1人にカスタマイズされた施策が望ましいですが、今のところそれはコスト面で現実的ではありません。オーディエンスの休眠理由は、休眠時期や課金傾向、行動パターンなどを分析することで、ある程度仮説を立てることが可能です。これにはアプリ内容の理解とデータ解析スキルが必要となります。分析手法に関しては前回の記事(https://www.metaps-links.com/blog/2016/03/31/retention/)にまとめてあるのでここでは割愛します。

 
 

3. アプリ内データと自動連携させること

一般的に、休眠復帰施策は少なくとも数日間は実施され、長いときには数週間以上に渡ります。たとえ実施前に適切なセグメンテーションを行えたとしても、オーディエンスのステータスは日々変わるため、オーディエンスとセグメントの対応関係は日々更新し続ける必要があります。この更新を怠ってしまうと、実施中に新たにセグメントの要件を満たしたオーディエンスに対して広告を配信できません。逆に、セグメント要件を満たさなくなったユーザにも実施し続けてしまうことになります。そのため、各種KPIやセグメンテーションの振り返り分析が困難になってしまい、上手くPDCAを回せなくなってしまいます。このアプリ内データと広告施策との動的な連携は、アプリ内データベースとセグメンテーションデータベース、そして広告プラットフォームとの紐付けの仕組みが必要であり、3つの要素の中でも特に実現が難しいポイントです。

図2.動的連携の有無と復帰率の推移比較


図2は、動的連携を行った場合と行っていない場合の、休眠復帰施策期間の復帰率の違いを表しています。動的連携の有無以外の条件はなるべく揃えて実施しました。図を確認すると、左図の動的連携のない方は、日を追うごとに効果が下がってしまっています。一方の動的連携を行っている右図の方では、中盤以降の復帰率がむしろ上昇するという結果になりました。このように、動的連携を行うことにより対象オーディエンスの鮮度を保つことは、復帰施策の成功に大きく寄与することが実際のデータでも確認されています。

 

3つの要素を組み合わせることの重要性

以上、次世代の休眠復帰施策に必要となる3つの要素について、必要となった背景や、実施時に要求されるスキルなどを交えて説明してきました。これらの要素はいずれか1つでも意識することで、少なからず効果は見込めますが、実はこれらは相互依存関係にあり、すべての要素が組み合わさることにこそ意味が生まれます
本稿で主張する休眠復帰施策とその連携を図で説明すると以下のようになります。

 

 

図3.3つの要素の相互依存イメージ



図3の円はそれぞれ、復帰後のプロダクトKPI、セグメント毎の復帰KPI、広告効果KPIを集合的にとらえたものです。集合の共通部分は連携していることを意味しています。図の共通部分をいかに広げることができるかが、休眠復帰施策を成功に導くためのもう1つのKPIとなるでしょう。

 

おわりに

休眠復帰施策において、期待通りの効果を得ることは非常にチャレンジングなテーマですが、分析手法や考え方は日々刷新されており、それを実現するためのツールも改善され続けています。今回の記事で伝えたいポイントを要約すると、以下になります。

  1. プロダクト視点のKPI設計
  2. 適切なセグメンテーション
  3. アプリ内データとの自動連携
  4. 上記3つの視点の複合的な活用

特に主張したいことは、すべての視点が組み合わさることに意味があり、いずれかの視点が抜けると効果が半減してしまうことです。
弊社では、アプリに親身に寄り添う経験豊富なコンサルタントと、セグメンテーションや自動連携を可能にするツール群が整っております。休眠復帰施策に悩んでいる方は是非一度お問い合わせください。

 

【Metaps Analyticsとは】
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